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6.太陽の寿命~質量とエネルギーの等価性の効用~

 高知県立大学、夜間の短期大で授業を担当していた頃、人文社会科学系の学生さん達に、恐るべき課題を課したことがある。で、みんな、熱心に考え抜いてきて、レポートをまとめてきてくれた。ひでき、ではないのが残念だが、感激!!

 

 太陽が光り輝いている。熱や光といったエネルギーは、アインシュタインの「質量とエネルギーの等価性」、E = m c2 で賄われている。

 

 大雑把に太陽の寿命を見積もってみよう。まずは、太陽からどれくらいのエネルギーが出ているかを知っておかないといけない。太陽からは、地球上の1平方センチメートル(cm2 )あたりに、1分ごとにおよそ 2カロリー 到達してきている。大気のせいで、ほんとに地表面では1カロリーに減っているが、来ているのは2カロリー。2カロリーというのはエネルギーの単位で8.4J (ジュール)。1ジュールとは kg m2/s2 という単位。1 J = 1 kg m/s。1分当たり2カロリーのエネルギーが降り注いでいるのを、1秒当たり1平方メートルあたりになおしておくと、

 

 (太陽から1億5千万キロメートル離れた地球の位置で、1秒あたりで1平方メー

  トルあたりに降り注ぐ太陽のエネルギー)= 8.4 [J] / (60 [s]×10-4 [m2])

 

 太陽からそのエネルギーが放射状、つまり球状に等しく出ていれば、太陽から地球までの距離 r は1億5千万キロメートル、 r=1.5×1011 メートル[m] なので、地球が受け取る太陽からのエネルギーは、そこんところの球面状の一部分である。地表の1平方センチメートル(cm2) (=10-4 平方メートル(m2))に2カロリーのエネルギーということなので、太陽を取り囲む半径 r [m] の球の表面積が4×π×r2 なのだから、この球面の面積をかけておいたものが、太陽から出ている全エネルギーということ。πは円周率(3.14・・・)。こうして、太陽が放出する1秒あたりのエネルギー W [J/s] は

 

  W=(太陽から1億5千万キロメートル離れた地球の位置で、1秒あたりで1平

    方メートルあたりに降り注ぐ太陽のエネルギー)×(半径が太陽と地球の距

    離になっていて、太陽を取り囲む球の表面積)

    = (8.4 [J] / (60 [s]×10-4 [m]) ×(4×π×(1.5×1011)×(1.5×1011) ) [m2]

    = 4.0×1026 [J / s]

 

のように計算できる。

 

 このエネルギーを太陽はどのようにして生み出しているのか? それが、原子核融合のエネルギー。途中を端折って結論だけ言うと、太陽は中心部分で、4つの水素原子核(陽子という素粒子)を一つのヘリウム原子核に「原子核融合」させ、そのとき浮いた質量を E=mc2 でエネルギー E に変えている。水素原子核一つの質量は 

MH =1.673×10‐27 kg、ヘリウム原子核一つの質量は MHe =6.644×10‐27 kg、4つの水素原子核の重さのほうが1つのヘリウム原子核より0.048×10‐27 kgだけ重い。ほんとにちょっとだけど、「質量とエネルギーの等価性」のE=mc2 という式には、「浮いた質量」mに、光の速さ c=3.0×108 [m/s]という大きな数が2回かかる。それで、4つの水素原子核が1つのヘリウムに変えられるときに浮いた質量をエネルギーに変えて、それで生み出されるエネルギーE [J]は

 

   E=(4×MH - MHe )×c2 =4.3×10‐12 [J]

 

と得られる。太陽から放出されるエネルギーは、さっき計算したWだ。1秒間に4個の水素原子核がヘリウム原子核に変わっていけばエネルギーEが出るのは、たった今計算したばかり。ということで、1秒間に何個の水素原子核がヘリウムに転換したらエネルギーWを賄えるかというと、

 

   (必要な水素原子核の個数N)= 4×(W / E) [個 / s] =3.7×1038 [個 / s]

 

で良い。W÷Eで何回の原子核融合が必要かがわかって、1回あたり4個の水素原子核が必要なので4を掛けた数が、必要な水素原子核の個数N個。1秒あたりに必要な水素原子核の質量M は

   

   M = N×MH = 6.2×1011 [kg / s]  (1式)

 

となる。原子核融合させるためには高密度・高温が必要だろうから、太陽の内部で起きているとしよう。まぁ、太陽の質量の10分の1くらいが中心部で原子核融合してヘリウム原子核に変わっていくと考えてみる。ここにある水素原子核がすべてヘリウム原子核になったら、太陽が燃えるのはおしまい(本当は赤色巨星になって、とかあるけど、省略)。じゃあ、太陽が燃え尽きるまでの寿命T [s] は計算できる。

 

   T=(M / 10) / M [s]

 

だって、太陽の質量Mの10分の1の重さ(分数の分子)が、(1式)で計算したように毎秒M kg 使われていけば、全部なくなるまでにはT秒かかるだろうから。

 

 太陽の質量、これは前に求めておいた。M=2.0×1030 kg。(1式)の数値と併せて入れてしまって計算すると

 

   T=3.2×1017 [s] = 100億年

 

とでる。太陽の寿命はおよそ100億年程度。現在、46億年くらいたっているので、あと50億年くらいは燃えていそうだ。