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22.呼吸と拡散

 動物は酸素を吸って生きている。人間なんかは肺を発達させて、肺胞で酸素を血管に受け渡す。肺胞にある酸素濃度をC1 、血液中の酸素濃度を C2 とすると、濃度差に比例した酸素の流れ、J  が生じる。比例定数を P と書いておくと、

 

    J = P (C1 - C2 )

 

ということ。これを拡散と呼ぶ。肺胞の酸素と血液との境界膜は薄くて、4×10-5 cm 程度らしい。これだけ薄いから酸素は拡散で移動できる。

 

 皮膚呼吸、なんて言葉もある。空気中の酸素を、直接皮膚から拡散で取り込む。しかし、人間の皮膚の表面積は限られているので、この方法では安静にしていても、必要な酸素の2%くらいしか賄えないそうだ。そこで、肺呼吸をするが、最後は拡散なので、全肺胞の表面積は大きい。皮膚の面積の50倍はあるそうだ。皮膚だけだと2%なので、その50倍あれば100%賄える。理に適っている。

 

 じゃぁ、肺を発達させずに皮膚呼吸だけで生きていくためには、体の大きさはどうであれば良いか。体が大きくなればそれだけ酸素が必要になるはずだから、必要な酸素量は体の体積に比例しているだろう。典型的な体の1辺の長さを L とすると、縦・横・高さでL3 に比例しているはず。いっぽう、皮膚呼吸で取り入れることのできる酸素量は、皮膚の面積、つまり体の表面積に比例するはずだ。立方体の体だと、6面あるので、6×L2 。でも、比例関係を見ているので6なんてのはどうでもいいから、L2 に比例していると言えばよい。

 取り入れることのできる酸素量(L2 に比例)と、必要な酸素量(L3 に比例)の比は

 

    (取り入れることのできる酸素量) ÷(必要な酸素量)= L2 / L3

                              = 1 / L

 

となる。体のサイズ、L が小さければ相対的に(取り入れることのできる酸素量)が(必要な酸素量)より大きくなり、皮膚呼吸だけでOKだ。一方、L が大きいと(取り入れることのできる酸素量) ÷(必要な酸素量)は1より十分小さくなり、(取り入れることのできる酸素量)が(必要な酸素量)を賄えない。

 

 体の小さな昆虫は皮膚呼吸プラスアルファで良いが、体の大きな人間は皮膚呼吸だけではだめなので、肺のシステムを進化させたのだろう。

 

 でも、肺と血管のシステムを使わず、直接拡散だけで酸素を取り込む場所が人にもある。眼の角膜。いちいち毛細血管を這わして角膜に酸素を送ると、角膜の毛細血管をいつも見てしまう。だから角膜は透明でなくっちゃ。でも、組織なんだから酸素は必要。そこで、酸素を含んだ涙を分泌して、角膜の表面を涙でいつもうるうるさせて、涙の中の酸素を、涙中の酸素濃度と角膜の酸素濃度の差でもって、拡散で角膜に酸素を与える。うまくできている。

 

 コンタクトレンズを付けて眠ると、まばたきしないから涙が角膜に流れず、酸欠になるので良くないということがわかった。

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