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33. ケプラーと夜明け

 太陽が出ている昼と、出ていない夜の長さが同じになるのは春分の日秋分の日。だんだん暖かくなる春分を1年の始まりにしていた民族は多そうだ。ローマ時代に遡る今の暦でも春 3 月が 1 月だった。それが証拠に「7 番目の月」で「septem(ラテン語の “7”)」なのに、今は 9 月。後も同様で、「octo(ラテン語の “8”)」「novem(ラテン語の “9”)」「decem(ラテン語の “10”)」がそれぞれ 10、11、12 月。ややこしい。3月が 1 月だった証だ。2 か月名前がずれてしまっている。

 太陽が出ている時間が一年で一番短くなるのが冬至冬至を過ぎれば日は長くなるので、太陽が復活したと考える流派(?)もある。ミトラ教の主神は太陽神。太陽神ミトラは冬至の日から 3 日後に復活するそうだ。冬至は大体 12 月 22 日頃。3 日後と言えば12 月 25 日。イエスの生誕日ではないか。イエス・キリストは、生まれた当時はキリスト教徒ではなく(当たり前だ)ユダヤ教徒の家に生まれたので、誕生後 8 日目にユダヤ教の割礼という儀式を行う。12 月 25 日を第 1 日目と数えると、ちょうど 1 月 1 日。おそらくそのようにして、現在の年始が定まったのだろうと想像できる。

 冬至を過ぎると徐々に日は長くなる。なのに朝、起きられない。冬至を過ぎたからと言って、夜明けの時刻がすぐに日一日と早くなるわけではない。逆に暫くは遅くなっている。朝起きられない(言い)わけである。

 

 話は 400 年遡る。神聖ローマ帝国にいたヨハネス・ケプラーは、デンマークのティコ・ブラーエが神聖ローマ帝国に追放されてやって来た後に弟子入りし、ティコの惑星に関する観測データから、3 つの観測事実を明らかにした。現在は、ケプラーの三法則として知られている。その内、1609 年に発表されたのが、第 1、第 2 法則。「すべての惑星は太陽の位置を一つの焦点とする楕円軌道を描く」という第 1 法則と、「惑星と太陽を結ぶ線分が、惑星の運行とともに単位時間に掃いていく面積は一定である」という、別名、面積速度一定の法則と呼ばれる第2法則。太陽が楕円の焦点にあるので、太陽の周りをまわる地球は太陽に近づいたり遠ざかったりする。

 

 北半球では、地球が太陽に近いときが冬。遠いときが夏。太陽に近いから暑いのではない。地軸が傾いているから、太陽光線を低い位置から受けるようになった時が冬。ケプラーの第 2 法則を、少し極端に書くと図1のような感じ。太陽に近いときには、単位の時間に地球が動く距離は大きくなる(NからN’)。逆に遠いときには遅くなる(FからF’)。図では扇型 SNN' の面積と SFF' の面積が等しくなるように動いていく。だから、太陽に近い冬の方が、地球が太陽を回る速さが早い。

 

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 地球は自転もしている。1 日は 24 時間であるが、これは太陽の中心が子午線(経度線)を通過する南中から次の南中までの時間の、1 年にわたる平均である。しかし、公転を考えずに、地球が真に 1 回転するのに要する時間は 23 時間 56 分 4 秒ほど。図 2 のように地球に棒を立てたら、太陽に近いところでは地球が 1 回転しても、まだ南中には間がある。もう少し回らないといけない。逆に、太陽から遠いところでは、あと少しだけ余分に回れば南中する。これを平均したのが平均太陽日で、24 時間。つまり、同じ方角(今は真南)に太陽を見るまでには、太陽に近い頃、北半球でいえば冬には結構余分に地球が回らないと(自転しないと)いけないので、いつもより時間がかかるというわけだ。逆に、夏には余分に回るぶんは少なくて済む。地球が 1 自転、23 時間 56 分 4 秒してから、平均 4 分ほど回らないと、太陽は同じ位置(例えば南中)に見えないということだ。図からわかるように、これはあくまでも「平均」。

 

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 今はわかりやすく、真南に太陽が来る南中で考えたが、夜明けの太陽の位置でも同じ。前の日に見た夜明けの位置に、今日も太陽を見ようと思ったら、冬の方が夏より余分に自転しないといけないので、それだけ余分に時間が必要となる。

 

 地球が太陽に一番近くなるのは 1 月の初めころ。だから冬至を過ぎてしばらくは、地球が太陽を回る速さはスピードアップしている。ということは、冬至を過ぎても夜明けの太陽をいつものように同じ水平線に見る時間は、昨日より余分に地球は回転しないといけないので、遅れる。だから、冬至を過ぎても、しばらくは夜明け時刻は遅くなっていくというわけだ。

 

 どうりで眠い。