115.国民の祝日

 国民の祝日の多くが皇室関連であるということを、最近の若者はあまり知らないようなので、備忘しておこう。

 1 月 1 日は「元日」。これは天皇陛下四方拝が行われ、歳旦祭という儀式が行われる日だ。

 2 月 11 日は「建国記念の日」。神武天皇が即位したという日を太陽暦に換算したということになっているが、定かではない。それが証拠に、皇室祭祀は行われていないようだ。戦前は紀元節

 2 月 23 日は「天皇誕生日」。今上陛下の誕生日だ。天長祭が行われる。

 3 月 20 日ころに、「春分の日」。この日に春季皇霊祭が皇室では行われる。春分だから休日なのではなく、皇室祭祀があるからだ。その証拠に、夏至冬至は祝日になっていない。

 4 月 29 日は「昭和の日」。言わずと知れた昭和天皇の誕生日だ。皇室祭祀はなさそうだ。昭和天皇崩御された 1 月 7 日には昭和天皇祭を行っているようだ。

 9 月 20 日ころに「秋分の日」。この日に皇室では秋季皇霊祭が行われる。

 11 月 3 日は「文化の日」。文化をうたっているが、実は明治天皇の誕生日。明治天皇に関しても、皇室祭祀は明治天皇崩御された 7 月 30 日に明治天皇例祭として行われている。

 11 月 23 日は「勤労感謝の日」。この日は新嘗祭で、天皇陛下が神に収穫された穀物などを捧げ、神とともに食する。

 

 以上が皇室絡みの祝日だ。このほかも見ておこう。

 

 1 月に「成人の日」がある。以前は 1 月 15 日に固定されていたが、今は第 2 月曜日となっている。おそらく、江戸時代以前に大人になったとして行う元服の儀式が小正月、1 月 15 日に行うことが多かったということからこの日になったのだろうが、元服の日はそもそも決まっていなかったので、まぁ、こじつけか。

 5 月には、まず、3日 が「憲法記念日」。日本国憲法が施行された日だ。4 日は「みどりの日」。もとは 4 月 29 日の昭和天皇の誕生日を、崩御された後にも祝日として残すために「みどりの日」としていたものを、4 月 29 日を「昭和の日」としたので、ここに移動させたもの。5 日は「こどもの日」。これは端午の節句だ。

 7 月第 3 月曜は「海の日」。8 月 11 日は「山の日」。あまり根拠がわからない。

 9 月第 3 月曜日は「敬老の日」。もとは 9 月 15 日だった。皇室祭祀との関連はない。

 10 月第 2 月曜日は「体育の日」。今後はスポーツの日と呼ぶそうだ。もとは 10 月 10 日、1964 年の東京オリンピックの開会式の日を定めている。

 

 こうしてみると、国民の祝日の半数は皇室絡みということだ。

 それと、確実な日を記念する「元日」「天皇誕生日」「憲法記念日」のみ、「の」の文字がない。この 3 日は、確実に日付が特定できるからだ。春分秋分も決まるが、年により日がずれるので「の」が入っているのだろう。「建国記念の日」に「の」が入っているのは、神武天皇即位の日が、神話の世界であり、日付けが特定できないためだ。