34.三平方の定理と次元解析

 フェルマーの最終定理

 

  n を3以上の自然数とするとき、xn + yn = zn を満たす整数解x、y、zは存在しない

 

と言えた。逆に言うと、n=2 のときには、

    

    x2 + y2 = z2

 

をみたす自然数の組 (x, y, z) は存在するということだ。たとえば、x=3、y=4、z=5。辺の長さが3対4対5の三角形を作ると、それは直角三角形になることを、古代エジプトの人は知っていたそうだ。

 

 整数に限らず、直角三角形の直角を挟む2辺の長さをそれぞれ a、b とし、直角に向かい合う辺(斜辺)の長さを c とすると

 

   a2 + b2 = c2 ・・・(1)

 

が成り立つ。3つの2乗、すなわち平方の間に成り立つこの直角三角形の辺の長さの間の関係は三平方の定理と呼ばれている。もちろん、直角三角形に対して成り立つ関係なので、a、b、c は自然数でなくてもよい。そればかりか、直角を挟む2辺の長さが1のときには、斜辺の長さc は

 

   12 + 12 = c2 、 つまり c2 = 2

 

だから、2乗して2になる数、ルート2で、1.41421356・・・と、分数であらわされない無理数が現れる。

 

 さて、三平方の定理の証明であるが、実にいろいろなバージョンがある。日本では和算家の関孝和の著作にも表れているが、証明は「見よ」みたいな感じで、図が書かれているのみらしい。実物見たことないけど。

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 幾何学的な証明は、例えば図1の通り。①の直角三角形に着目する。長さ c の斜辺を1辺とする正方形㊥を作る。そうすると②、③、④のように①と同じ形で大きさの直角三角形を配置すると、1辺 a+b の正方形ができる。では面積を考える。1辺 a+b の正方形の面積は、(a+b)×(a+b)。これは、1辺 c の正方形の面積と、考えている直角三角形4つの面積を足したものに等しいことがわかる。三角形の面積は、底辺×高さ÷2だから、

 

    (a+b)×(a+b) = c×c + (a×b÷2)×4 ・・・(2)

 

という式が成り立つ。(2)の左辺は

 

    (a+b)×(a+b) =a2 + 2ab + b2 ・・・(3)

 

(2)の右辺は

 

    c×c + (a×b÷2)×4 = c2 +2ab ・・・(4)

 

(2)から(3)と(4)が等しいので、両辺共通の 2ab を引き算して

 

    a2 + b2 = c2 ・・・(1)

 

が成り立つ。

 

 ちょっとおしゃれなお気に入りの証明法がある。そもそも直角三角形は「直角」という一つの条件が付いているので、うまい量をあと2つ決めれば形と大きさが決まってしまう。たとえば、斜辺の長さと一つの角度を決めてしまえば形と大きさが決まる。図2のように直角を挟んで直線を引いておいて、斜辺の長さの線分を用意し、その斜辺は角度θで一つの辺とつながるとすれば、直角を挟む直線にぴたりとはまるように斜辺を持っていけばよい。そうすると、直角三角形はただ一つに決まる。つまり斜辺の長さ(c としよう)と、直角以外の一つの角度 ( θ としよう) を持ってくれば、直角三角形の形と大きさは一意に決まる。角度は2つあるので、常に45度以下の方を取ることにしよう。

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 では、面積はどのように、c と θ で決まるのだろうか。面積は長さの2乗の次元、平方メートルとか、を持っている。角度 θ は「度」または「ラジアン」だから、θ をどのようにいじくり倒しても、どんなに料理しても、長さの2乗なんて出てこない。だから、直角三角形の面積は、長さ c に頼らないといけない。長さの次元を持っているのは、今のところ c だけだから。面積は長さの2乗だから、c2 に比例するはずだ。比例定数は、三角形の形、つまり θ に依存しているだろう。どんなふうに依存しているか知らなくてもよいので、関数 f (θ) としておこう。そうすると、直角三角形の面積S は

 

    S = c2 × f (θ)  ・・・(5)

 

となっているはずだ。関数 f は c に依存してはいけない。依存していたら、 S 自身が長さの2乗の次元にならず、長さの3乗(たとえば f = c×θ のときとか)やら4乗(たとえば f = c×θ のときとか)やら1乗(たとえば f = θ÷ c のときとか)やらになってしまうだろう。

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 そこで、今度は考えている直角三角形を、さらに2つの、形の等しい(相似な)直角三角形に分割する。図3 のように、三角形 OAB を三角形 COB と三角形 CAO に分けた。3つの三角形は相似なので、45度より小さい角はすべて θ だ。そこで、三角形OABの面積は、三角形 COB と三角形 CAO の面積を足したものだから、図3と(5)をよく見て、どこが直角三角形の斜辺か見極めて

 

    三角形OABの面積 = c2 ×f (θ)

             = 三角形 COB の面積 + 三角形 CAB の面積

             = b2 × f (θ) + a2 × f (θ)

 

となることがわかる。共通の因子 f (θ) を割り算してしまえば、

 

    c2 = a2 + b2

 

が得られる。右辺と左辺がひっくり返ったが、おんなじこと。

 

 物理では、こういった考え方、方法を、次元解析と呼ぶ。面積の「次元」は長さの 2乗。長さの 2 乗になるには、ここに現れてくる長さの次元を持つ唯一の量、c を 2 乗するしかない。だから、三角形の面積は斜辺の長さの 2 乗に比例するべきである。こんな風に考えると、三平方の定理も、物理学的に(?)証明できてしまう。

 

33. ケプラーと夜明け

 太陽が出ている昼と、出ていない夜の長さが同じになるのは春分の日秋分の日。だんだん暖かくなる春分を1年の始まりにしていた民族は多そうだ。ローマ時代に遡る今の暦でも春 3 月が 1 月だった。それが証拠に「7 番目の月」で「septem(ラテン語の “7”)」なのに、今は 9 月。後も同様で、「octo(ラテン語の “8”)」「novem(ラテン語の “9”)」「decem(ラテン語の “10”)」がそれぞれ 10、11、12 月。ややこしい。3月が 1 月だった証だ。2 か月名前がずれてしまっている。

 太陽が出ている時間が一年で一番短くなるのが冬至冬至を過ぎれば日は長くなるので、太陽が復活したと考える流派(?)もある。ミトラ教の主神は太陽神。太陽神ミトラは冬至の日から 3 日後に復活するそうだ。冬至は大体 12 月 22 日頃。3 日後と言えば12 月 25 日。イエスの生誕日ではないか。イエス・キリストは、生まれた当時はキリスト教徒ではなく(当たり前だ)ユダヤ教徒の家に生まれたので、誕生後 8 日目にユダヤ教の割礼という儀式を行う。12 月 25 日を第 1 日目と数えると、ちょうど 1 月 1 日。おそらくそのようにして、現在の年始が定まったのだろうと想像できる。

 冬至を過ぎると徐々に日は長くなる。なのに朝、起きられない。冬至を過ぎたからと言って、夜明けの時刻がすぐに日一日と早くなるわけではない。逆に暫くは遅くなっている。朝起きられない(言い)わけである。

 

 話は 400 年遡る。神聖ローマ帝国にいたヨハネス・ケプラーは、デンマークのティコ・ブラーエが神聖ローマ帝国に追放されてやって来た後に弟子入りし、ティコの惑星に関する観測データから、3 つの観測事実を明らかにした。現在は、ケプラーの三法則として知られている。その内、1609 年に発表されたのが、第 1、第 2 法則。「すべての惑星は太陽の位置を一つの焦点とする楕円軌道を描く」という第 1 法則と、「惑星と太陽を結ぶ線分が、惑星の運行とともに単位時間に掃いていく面積は一定である」という、別名、面積速度一定の法則と呼ばれる第2法則。太陽が楕円の焦点にあるので、太陽の周りをまわる地球は太陽に近づいたり遠ざかったりする。

 

 北半球では、地球が太陽に近いときが冬。遠いときが夏。太陽に近いから暑いのではない。地軸が傾いているから、太陽光線を低い位置から受けるようになった時が冬。ケプラーの第 2 法則を、少し極端に書くと図1のような感じ。太陽に近いときには、単位の時間に地球が動く距離は大きくなる(NからN’)。逆に遠いときには遅くなる(FからF’)。図では扇型 SNN' の面積と SFF' の面積が等しくなるように動いていく。だから、太陽に近い冬の方が、地球が太陽を回る速さが早い。

 

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 地球は自転もしている。1 日は 24 時間であるが、これは太陽の中心が子午線(経度線)を通過する南中から次の南中までの時間の、1 年にわたる平均である。しかし、公転を考えずに、地球が真に 1 回転するのに要する時間は 23 時間 56 分 4 秒ほど。図 2 のように地球に棒を立てたら、太陽に近いところでは地球が 1 回転しても、まだ南中には間がある。もう少し回らないといけない。逆に、太陽から遠いところでは、あと少しだけ余分に回れば南中する。これを平均したのが平均太陽日で、24 時間。つまり、同じ方角(今は真南)に太陽を見るまでには、太陽に近い頃、北半球でいえば冬には結構余分に地球が回らないと(自転しないと)いけないので、いつもより時間がかかるというわけだ。逆に、夏には余分に回るぶんは少なくて済む。地球が 1 自転、23 時間 56 分 4 秒してから、平均 4 分ほど回らないと、太陽は同じ位置(例えば南中)に見えないということだ。図からわかるように、これはあくまでも「平均」。

 

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 今はわかりやすく、真南に太陽が来る南中で考えたが、夜明けの太陽の位置でも同じ。前の日に見た夜明けの位置に、今日も太陽を見ようと思ったら、冬の方が夏より余分に自転しないといけないので、それだけ余分に時間が必要となる。

 

 地球が太陽に一番近くなるのは 1 月の初めころ。だから冬至を過ぎてしばらくは、地球が太陽を回る速さはスピードアップしている。ということは、冬至を過ぎても夜明けの太陽をいつものように同じ水平線に見る時間は、昨日より余分に地球は回転しないといけないので、遅れる。だから、冬至を過ぎても、しばらくは夜明け時刻は遅くなっていくというわけだ。

 

 どうりで眠い。

 

 

32.ソフィー・ジェルマン

 最近の若者は「やばい」という言葉を肯定的にも使うようだ。昔は、「やばい」といえば、まずいなぁ、とか、ひでぇなぁ、とか否定的な意味でしか使わなかったのに、近頃は、すごいなぁ、といった感じで使われている。言葉は変化する。最近、あまり耳にしなくなったが、一昔前、自分が若いころには、最近の若い者の日本語は乱れている、なんてことをよく聞いた。しかし、言葉は変化する。日本語が乱れてきたという人は、「新しい(あたらしい)」なんぞという「乱れた言葉」を使わずに、いつもきちんと「あらたしい」と言っているか、聞いてみたいものだ。

 

 いっとき、「ら抜き言葉」が糾弾されていた。例えば、「見ることができる」という意味の「見られる」のかわりに、「ら」を抜いて、「見れる」という。よくできた変化だと思う。「見られる」だと、「受け身」と「可能」の両方の可能性があるが、らを抜くことで、明白に「可能」の用法であることを印象づけている。日本語が乱れたとは思えない。進化している。

 

 ちょっと違うが、少し似ているものとして、中学生の時、一瞬だけ「言語の脱落現象」に興味が引かれたことがある。「わたくし(watakushi)」が「わたし(watashi)」になったり、「あたし(atashi)」になったり、「わし(washi)」になったり、「あたい(atai)」になったり。母音や子音が脱落していく。どうしてなのか、そのメカニズムと経年変化が知りたかったのだが、ほかにもたくさん知りたいことがあって、調べないまま勉強しないまま知らないままに、20世紀が終わってしまい、21世紀に入って6分の1近く過ぎた。

 

 21世紀に生まれた息子が、2016の数字の話に少し興味を持ったのか、「2003は何かある?」と聞いてきた。忘れないように、少し記しておこう。

 

2003年は21世紀最初の素数年であった。その前は1999年。2003は素数

 

終わり。これだけだと少し寂しいので、数論の話を少し。

 

有名なのは、フェルマーの最終定理。1995年に解決したが、

 

    xn + yn = zn  を満たす整数解 x、y、z は、n が 3 以上の整数の場合には

    存在しない

 

というやつ。n = 2 のときはピタゴラスの定理に従う数であればよいが、n が3以上では突然存在しなくなる。問題設定が理解しやすいので取り組んでみるものの、フェルマーが余白に書き記して以来、なかなか難攻不落であった。

 n = 3 と 4 のときには確かにフェルマーの予想が正しいと証明されていた18世紀の終わりころ、フランスのラグランジュの教える学生の一人、ルブラン君の提出レポートが、あるとき突然目を引くほど良くなった。じつは、ソフィー・ジェルマンという女性が、ルブラン君に成りすましていたらしい。当時はパリ理工科大学に女性の入学資格が無かった。今だと成りすまし、替え玉でレポートを書いた咎で、ルブラン君の当該学期の授業科目はすべて零点なんぞというペナルティを課されたりするおバカな時代であるが、今、講義している解析力学でばんばん名前の出てくるラグランジュは、ちと違った。ルブラン君自身はどうなったのかは知らない。が、ソフィーは女性であって、当時正式に学問のできなかった時代、ラグランジュは正当に彼女の業績を評価し、ソフィーの助言者になっている。彼女はガウスにも手紙を書いて数学上の文通をしたりもするようになった。ルブランが実は女性だと知った後も、ガウスも正当に評価して研究を続けたり、ラグランジュは自身の論文の謝辞に彼女の名前を入れたりしているので、当時としてはラグランジュガウスも先進的な人物だったのだろう。女性は学位が取れない時代だったが、名誉博士号をあげようとした矢先、彼女は亡くなってしまう。ソフィー・ジェルマンは物理学では弾性体の研究をしていた。数学では、ソフィー・ジェルマンの定理が知られている。

 

    p を素数とし、2p + 1 もまた素数であるとき、xp + yp = zp を満たす整数解

    x、y、z が存在するとき、x、y、zのいずれかは p で割り切れる

 

というもの。フェルマーの定理の証明に向けて、n = 3、4、5・・・とひとつづつ攻める

のではなく、一般的な n について考えようという初めての試みであった。

 

 p が素数で、その2倍に1を足したもの(2p + 1)もまた素数であるような数 p は、

ソフィー・ジェルマン素数と呼ばれるようになった。

 

 息子よ。2003はソフィー・ジェルマン素数なのであるぞ(4007も素数)。

 

 ソフィー・ジェルマン素数が何故興味深いか。ソフィー・ジェルマン素数が無限にあ

るのか無いのか、いまだ知られていないのだ。これだから数論は面白い。面白いが、相当数学ができないと近づいてはいけない。

 

と、私が大学生の時には巷間で囁かれていた。凡人が近づいても、何の成果も出せずに一生を棒に振るという。

 

 端的に言って、数論は、やばい。

31.西暦2016年、平成28年

 数学者のガウスが小学生の時、授業中に自分の時間を作ろうとした先生から計算に時間のかかりそうな「1から100まで足し算しなさい」という課題を与えられたところ、他の生徒は計算に時間がかかったが、ガウスだけはたちどころに5050という答えを出したという。その計算法は、

     1+2+3+・・・+99+100

の、両側同士を足していく。

    1+2+3+・・・+99+100 = (1+100)+(2+99)+(3+98)+・・・+(50+51)

こうすると、101が50個あることがすぐにわかるので、

    1+2+3+・・・+99+100 = (1+100)+(2+99)+(3+98)+・・・+(50+51)

               =101×50

               =5050

というわけだ。

 

 ひるがえって、同じく小学生の息子に、1から10の足し算にして教えておいた。しばらくして、もうすぐ中1という頃に、1から63までの足し算をさせようと思い、手始めに1から10まで足し算させると「1足す2は3、3足す3は6」とか唱えだしたので、「前にやり方教えたやろ」というと、あぁそうかということで、端と端を足すことを思い出した。

 

 いや違う。

 

 「10を作るんやろ。1と9、2と8、3と7、4と6、5だけ余るから・・・45!!」

 「最後の10わぃ?」

 「あぁ~あ、0+10 して55や。」

 

 まぁいい。それで1から63まで足し算させる。10が作れず困っている。

 「端っこどうしから順にたすんちゃうん?」

 「あぁ~あ、1と63で64、2と62で64、・・・・」

 「相棒はみんな居るか?」

 「・・・、32は残る」

 「64は何個ある?」

 「えぇーと、・・・33個。」

あてずっぽうである。

 「違うやろ。」

 「64個」

既に電池切れである。

 「1と63、2と62、3と、4と、って行くんやろ。どこまで行くん?」

 「32、あぁ~あ、31や。」

 「じゃぁ、1から63まで足したらなんぼ?」

ということで紙に書いて、計算した。

    1+2+3+・・・+62+63 = (1+63)+(2+62)+・・・(31+33)+32

              =64×31 + 32

              = 2016

 

 「ほら、今年はそんな年や(2016年1月記す)」

 

 すぐに風呂に入る。つらつら考えていたら、息子のやり方、0を足して置いて両端から足していくやり方も結構いいことに思い当たった。たまには良い発想をするものだ。1から63までの足し算の場合はその方が面白い。

    0+1+2+3+・・・+62+63 = (0+63)+(1+62)+・・・+(31+32)

と、63の塊が作れる。それが31個、いや、0を加えたので32個。

    0+1+2+3+・・・+62+63 = (0+63)+(1+62)+・・・+(31+32)

                =63×32

                =2016

こうしておいて、九九を思い出すと、63=7×9、32=4×8なので、2016は7でも4でも割り切れることがわかる。28で割れるということ。2016が平成28年の28で割り切れる。割ると、63の中の9と、32の中の8が余るので、答えは9×8=72だ。

    2016=28×72

おや、因数の28と72をたすと丁度100になる。こんな年も珍しいのかなと思いつつ風呂から上がる。

 

 風呂の中で、クォークが6種類あればうまくいくとか思いついたら、ノーベル賞を貰えるのだがなぁ。

 

 

30.ベクトルの外積(ベクトル積)と四元数

 物理の授業をすると、必ずベクトルの解説をしなければならない。高等学校までは2次元平面のベクトルは習うが、3次元空間内のベクトルは習わない。次元が一つだけ増えるだけなのではあるが、高等学校で習わない、「ベクトルの外積」が登場する。

 

 高等学校では2次元のベクトル

 

   a = ( ax , ay ) 、   b = ( bx , by )

 

に対して、「内積スカラー積)」

 

   ab = ax bx + ay by

 

が定義されて、習う。それぞれの成分同士を掛け合わせてから、足す。3次元への拡張は簡単で、ベクトルの成分が3つになるので、

 

   a = ( ax , ay , az ) 、   b = ( bx , by , bz) ・・・(1)

 

に対して、「内積スカラー積)」

 

   ab = ax bx + ay by + az bz  ・・・(2)

 

とすればよい。ところが、3次元空間では、2つのベクトルからまたベクトルを作る演算が定義できて、これを「ベクトル積」という。定義は次の通り。

 

   a×b = ( aybz-az by , azbx-ax bz , axby - ay bx ) ・・・(3)

 

x、y、zの3成分のベクトル2つからまた3成分のベクトルa×b を作る。3次元になって初めて出てくる演算だ。

 

 学生さんに話をすると必ず出てくる感想は、「初めて見た」「高校まででは習わなかった」。それはそうだ。高校では3次元のベクトルはやらないから。ときどき「高校でなぜ教わらないのか」という質問が来るが、3次元のベクトルはやらないから。「2次元で教えてほしい」と言われても、あからさまに定義できない。なんでだろう?

 

 ベクトル自身は成分を増やしていけば、4次元でも5次元でも考えられる。でも、ベクトルの外積は、3次元と7次元でないと導入できない。なんでだろう?

 

 数学では、普通の1変数の「数」、実数と虚数の2変数を組み合わせた「複素数」の他に、ハミルトンの四元数というものが定義できる。4元数で数として演算が閉じる。次に定義できるのは八元数。「四」元数が定義できるので、一つ少ない数の次元、3次元でベクトル積が導入できる。「八」元数が定義できるので、一つ少ない数の次元、7次元でベクトル積は定義できる。

 

 良くわからないから、大学の同僚の数学コースの F 先生に聞きに行く。こういうとき、大学勤めは便利である。なんせ、どの先生に質問して解説してもらっても、タダである。

 

 なぜ定義できるのか、説明してもらったが、なお、六(むつ)かしい(寺田寅彦風表記)。

 

 それはさておき、四元数を考えよう。複素数は、虚数単位 i = √(-1)を考える。2乗したらマイナス1になる数が i 。どこかで、ある数学者は i を沢山印刷した風呂敷を持っていたと読んだことがある。「 i (愛)はすべてを包む」という洒落らしい。そんなことはどうでもよい。複素数は、虚数単位を使って

 

    z = a + b i

 

とかける。2つの複素数 za = a0 + a1 i 、zb = b0 + b1 iの掛け算は

 

    za zb = ( a0 + a1 i )×( b0 + b1 i )

      = a0 b0 -a1 b1 + (a0 b1 + a1 b0 ) i

 

となる。ここで、a0 = b0 = 0 ととると、

 

    za zb = -a1 b1 

 

となり、2つの「1次元ベクトル」a =(a1 )、b =(b1 ) の積が出る。マイナス符号を除いて、内積と言ってもいいし、外積と言ってもいい。なんせ、ベクトルを定義するときに重要な、回転を被る「向き」がないから、何と言ってもよろしい。「1次元ベクトル」はあまりにも自明だ。でもまぁ、2変数から成る「複素数」が数として定義できるので、1次元ベクトルの外積は定義できると思っておこう。あまりにも自明だけれど。

 

 次は四元数。2乗したらマイナス1になる3つの数、i、j、k を用意する。

 

    i2 = j2 = k2 = -1 ・・・(4)

 

 

i、j、k には次のような掛け算の関係がある。

 

    i j = -j i = k 、   j k = -k j = i 、   k i = -i k = j   ・・・(5)

 

2つの四元数

 

    ha = a0 + ax i + ay j + az k 、   hb = b0 + bx i + by j + bz k

 

面倒なので、最初から、a0 = b0 =0 としておこう。こうして、2つの四元数の積を計算して見る。(4)と(5)の関係に注意すると

 

   ha × hb = ( ax i + ay j + az k )×( bx i + by j + bz k )

       = -( ax bx + aby + az bz )

        + ( ay bz - az by ) i + ( az bx - ax bz ) j + ( ax by - ay bx ) k

 

となる。なんと、第1項はマイナス符号を除いて2つの3次元ベクトル(1)の内積(2)が現れている。第2、3、4項は外積(3)の x 成分、y 成分、z 成分だ。

 

 こんなことを授業で話していたら、ハタと思い当った。自分が学生のころ、3次元空間座標で、x 方向の単位ベクトル(大きさ1のベクトル)を i 、y 方向の単位ベクトル)を j 、z 方向の単位ベクトルをと書く流儀があった。ひょっとすると、ハミルトンの四元数の名残なのかもしれないと急に思い当った。

 

 ベクトルの内積外積を初めて定義したのは、グラスマンで、1844年のことだそうだ。ハミルトンが四元数を導入したのは1843年。

 

 

 

29.情報量のエントロピー

 第27回では、熱の科学に出てくる「エントロピー」を紹介した。状態量を W とすると、ボルツマン定数を kB として、エントロピー S は

 

    S = kB log W

 

だった。kB × log W のこと。log は対数で、第28回で説明した。熱力学では、この量は、移動した熱量 Q と、絶対温度 T に関係していた。

 

 さて。

 

 唐突、あまりに唐突ではあるが、ある人が、16個の中に一つだけお気に入りの物があったとしよう。その人に質問して、どれがお気に入りか教えてもらうことにする。その人は「はい」か「いいえ」でしか答えてくれない。最低何回質問すれば、お気に入りを確定できるだろうか。16個の物に、0、1、2、・・・、15 と番号を付けておこう。「あなたは 0 番がお気に入りですか?」「はい」と答えてくれたら 1 回でわかるが、下手したら、「あなたは 0 番がお気に入りですか?」「いいえ」、「じゃぁ、あなたは 1 番がお気に入りですか?」「いいえ」、「じゃぁ、あなたは 2 番がお気に入りですか?」「いいえ」と続いて、15回目の質問「じゃぁ、あなたは 14 番がお気に入りですか?」「いいえ」「で、初めて 15 番がお気に入りとわかることもある。これだと確実にお気に入りを突き止めるのに 15 回の質問回数が要る。最低何回で突き止められるかだから、これは宜しくない。やりかたは、こうだ。まず、16 個の物を 2 つに分ける。今だと、0 番から 7 番までと、8 番から 15 番。そこで、「あなたのお気に入りは 0番から 7 番までにありますか」と聞いてみる。答えが「はい」だと 0 から 7 の 8 個に、「いいえ」だと 8 から 15 の 8 個に絞られる。どちらでも 16 個のうち 8 個に絞れた。質問回数は 1 回目。仮に答えが「はい」だったとしよう。次は、この 8 個を 2 つのグループに分ける。0 から 3 までの 4 個と、4 から 7 までの 4 個。さて質問。「あなたのお気に入りは 0 番から 3 番までにありますか。」答えが「はい」なら 0 から 3 までの 4 つの中にお気に入りがあると絞られる。「いいえ」なら 4 から 7 までの 4 つに絞れる。どちらも、8 個の可能性の中から 4 つに絞れた。質問回数は 2 回目。次も 2 つに分ける。仮に今の答えが「はい」なら 0 から 3 の 4 つの中にあるはずだから、0 番 1 番と、2 番 3 番に分ける。「あなたのお気に入りは、0 と 1 のどちらかですか?」と尋ねてみる。質問回数は 3 回目。「はい」なら 4 回目の質問、「0ですか」と聞いてみれば、「はい」なら 0 番がお気に入りだし、「いいえ」なら 1 番がお気に入りだ。「あなたのお気に入りは、0 と 1 のどちらかですか?」と尋ねたときに、「いいえ」なら 1 番か 2 番だから、やはりそのどちらか。結局、質問は 4 回で、お気に入りが確定した。そこで、この唐突な話題の答えは「最低 4 回」だった。

 

 今の例では、曖昧さ16個から一つを確定させて情報を得たことになる。その際、4 回の質問で情報は確定できた。そこで、曖昧さ X の時、

 

    log 2 X

 

を「情報量のエントロピー」と呼ぼう。熱力学のエントロピーの真似っこだ。ただし、対数の底は 2 にとり、物理量と違って次元がないので、次元を合わせるようなボルツマン定数なんかは入ってこない。今の場合

 

    log 2 16 = log 2 24 = 4

 

なので、情報量のエントロピーは 4。答えは「はい」か「いいえ」だった。2 通りだから X = 2として

 

     log 2 2 = 1

 

だけ情報の曖昧さを減らせる。だから、最低の質問回数は、情報量のエントロピー(あいまいさ)log 2 16 を、1回の質問ごとに曖昧さをlog2 2ずつ減らすので

 

    log 2 16 / log2 2 = 4

 

と、4 回で良いということが数式で示せる。曖昧さ 2 のときの情報量のエントロピー

log 2 2 = 1 で、情報量のエントロピーといつも言うのも面倒なので、単位っぽいものをつけて「1 ビット」という。

 

 今度も唐突ではあるが、27 枚の金貨があるのだが、1 枚だけ金の量が少なくて軽いとしよう。天秤が一つある。この天秤を最低何回使えば、軽い金貨1枚を特定できるだろうか。さっきの情報量のエントロピーの考え方を使ってみよう。X=27 なので、情報の曖昧さ、情報量のエントロピー

 

    log 2 27

 

だ。だから、これが天秤を使う回数?電卓をはじくと log 2 27 = 4.75488・・・。だから 4 回ではだめで 5 回? いやいや、天秤を  1回使うと、「はい」「いいえ」の 2 通りの回答ではなく、どちらかが「重い」「軽い」の2つの他に「等しい(つりあっている)」という情報も得られる。要するに、3 つの情報。天秤1回使うと、減らせる曖昧さは

 

    log 2 3

 

ということだ。だから、曖昧さlog 2 27 を、天秤1回あたりlog 2 3ずつ減らしていくので、天秤を使う回数は、

 

    log 2 27 / log 2 3

 

で良いはず。前回導いた対数の有用な公式

 

    log x c = log b c / log b x

 

を使うと、b=2、c=27、x=3 として、

 

    log 2 27 / log 2 3 = log 3 27 = log 3 33 = 3

 

(27 = 3×3×3 = 33 )。だから、3 回で良い。

 

 実際にやってみる。27 枚の金貨を 3 つのグループに分ける。グループ A に 9 枚、グループ B に 9 枚、グループ C に 9 枚。グループ A とグループ B を天秤にかける。どちらかが軽ければそのグループ 9 枚の中に軽い金貨があるはずだ。天秤が釣り合っていれば、残したグループ C の中の 9 枚中に軽い金貨があるはず。これで天秤を 1 回使って 9枚に絞れた。今度はその 9 枚を 3 枚づつの 3 つのグループに分ける。そのうちの 2 つのグループを天秤にかけると、さっきと同じようにして、軽い金貨が含まれるグループを一つ絞れる。これで天秤を 2 回使った。最後は、軽い金貨のある 3 枚の内から 2 枚を天秤にかけて、どちらかが軽ければその金貨、釣り合ったら残した金貨が軽いとわかる。これで 3 回目。終わり。

 

  では、天秤を 4 回使うなら、最大、何枚の金貨から 1 枚軽い金貨を選び出せるか?さっきの考え方を逆に使う。最大の枚数を X としておくと、

 

    log 2 X / log 2 3 = log 3 X = 4

 

となるXを探せばよい。答えは X = 81 (= 3×3×3 ×3 = 34 )。

 

28.対数

 前回、エントロピーのところで、対数関数が出てきたので、おさらい。

 

 まず、0 と自然数、1,2,3・・・を知っているとしよう。また、自然数を数えることはできているとしよう。自然数 a から出発して、1 を b 回数える。これは、

 

    a + b ・・・(1)

 

を実行したということ。「足し算」が導入された。

 

 「足し算」が導入されたので、次に、0 から出発して、a を一つ、さらに一つ、つまり a を2つ、a を3つ・・・と足していこう。a を b 回たすと

 

   a + a + a + ・・・ + a = a×b ・・・(2)

 

ということで、「掛け算」を導入する。

 

 「掛け算」が導入されたので、引き続いて、a を1回、a を2回・・・、a を b 回掛け算しよう。

 

   a×a×a×・・・×a = ab ・・・(3)

 

と、べき乗が導入される。

 

 今度は、(1)、(2)、(3)の逆を考えてみる。自然数 a と c を知っていたとき、

 

    a + b = c

 

となるような b を知りたい。そこで、

 

    b = c - a ・・・(4)

 

と定義しよう。「引き算」の導入だ。a が2、c が16だったら、足し算(1)を睨んで、b=14 とわかる。それを(4)式のようにして表す。

 

 次に、a×b = c を満たす b が知りたい。a が 2、c が 16 だったら、掛け算(2)を睨んで、b=8 とわかる。それを

 

    b = c / a ・・・(5)

のようにして表す。「割り算」の導入だ。

 

 今度は、ba = c を満たす b を知りたい。何を a 回かけたら c になるか。a が 2、c が16 だったら、べき乗(3)を睨んで、4 を a( = 2 )回かけたら 4×4 で 16(=c)になるので、b=4 とわかる。4 を 2回かけたら、4×4 で 16 だ。それを

 

    b = √16 だが、一般に b = c(1/a)  ・・・(6)

 

とかく。a 乗根だ。(フォントが無いのでうまく書けない・・・。)

 

 逆に、ab = c となる b を知りたい。a を何回かけたら c になるか。a が 2 で c が 16 だったら、a(=2 )を何回かけたら c(=16)になるか。2 を 4回かけたら 16 になるのでb=4。これを

 

    4 = log 2 16 、一般に b = log a c  ・・・(7)

 

とかく。log の下の a は、「a を何回かけたら」の a 、log の中の c は、「a を何回掛けたら c になるか」の c 。これが対数だ。このとき、数 a を対数の底という。

 

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 ここまで来たついでに、数を一般化しておこう。今、0と自然数で始めた。しかし、引き算(4)を考えると、c = 0 の時にはどうしたらよいだろう。

  0-1、0-2、0-3、・・・

が現れる。これをひっくるめて、次のような新しい数を定義してしまう。順に

  -1、-2、-3、・・・

「負の自然数」の導入だ。「0と自然数」に「負の自然数」-あわせて「整数」と呼ぼう-まで合わせることで、引き算はすべて行えるようになった。ついでに、掛け算の規則 a×(b + c ) = a×b + a×c を認めれば

    2×(-1)=2×(2 - 3 ) = 2×2 - 2 × 3 = 4-6 = -2

なので、(正の数)×(負の数)という掛け算もできる。ついでに(-2)×(-2)=-2×(1-3)=-2×1-(-2)×3 = -2 -(-6) = -2+6 =4 と掛け算できる。(負の数)×(負の数)だ。

 足し算の逆である引き算はできるようになったが、割り算(5)はどうだろう。c=1のときには、a が1より大きいと、整数では書けない。そこで、「有理数」を導入する。分数で書ける数だ。もちろん整数 a も a / 1 と無理やり分数で書けるので、整数も有理数に入れておこう。

ところが、だ。

べき乗の逆、(6)で、b2 = 2 となるbはどんな数だろう。規則では、b=2(1/2) だが、これは分数で書けない。1.41421356・・・と、循環しない数字の列がどこまでも続く。「無理数」だ。「有理数」と「無理数」で、数直線上の数はすべて尽きる。

 ところが。

 b2 = -1 となる b が無い。b が正の数なら(正の数)×(正の数)=(正の数)だし、b が負の数なら(負の数)×(負の数)=(正の数)だ。同じ数を 2回かけて-1のような負の数にはならない。そこで、2回かけて-1 になる数を新たに導入する。「虚数」だ。今までの数を「実数」と呼ぼう。

    b2 = -1 の解は、 b = i (=√-1)

と書くことにする。「実数」と「虚数」合わせたものを複素数と呼ぼう。

 じつは、「複素数を係数とする定数でない多項式は、複素数内に必ず根(解)を持つ」ことが言える。つまり、z を変数、a0、a1、・・・an 複素数とすると、方程式

    a0×zn + a1×zn-1 +・・・+an-1×z + an = 0

の解は、必ず複素数の範囲でみつかり、数を拡張する必要はない。これを「代数学の基本定理」と呼ぶ。

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  完全に話が脱線した。必要な対数の知識を得ることが目的だ。今、

    

    a = bv   , c = bw

 

としよう。この時、

 

    bu = a×b ,つまり、bu = bv × bw = bv+w , ここに u = v + w

 

である。このとき、‘‘逆’’、すなわち底が b の対数をとろう。

 

    log b bu = log b (a×b) ・・・(8)

 

左辺は底 b を何回かけたら bu になるかを意味していたのだから、答えは u だ。

 

    u = log b bu = log b (a×b) ・・・(8)’

 

同じようにlog b a ( = log b bv ) = v 、log b c ( = log b bw ) = w なのだが、u = v + w だったから

 

    u = v + w = log b a + log b c ・・・(8)’’ 

    

だ。(8)’ と(8)’’ の2式の右辺を見比べて、u、v、w をやめると

 

   log b (a×b) = log b a + log b c ・・・(9)

 

という有用な公式が得られる。

 

 次に、底が b の対数はすべて知っているとしよう。このとき、x についての方程式

 

   xa = c ・・・(10)

 

を考えてみる。今、

 

    x = bt  ・・・(11)

 

とおいてみる。もとの方程式(10)に代入すると

 

    b(t×a) = c

 

になる。底が b の対数は知っているとしたので、対数をとって、

 

    log b b(t×a) = log b c

 

一方、この式の左辺は log b b(t×a) = t×a だから、

 

    t×a = log b c ・・・(12)

 

だ。でも、(10)から、素直に底を x にして対数をとると

 

    log x xa = log x c ( = a ) ・・・(13)

 

だが、左辺は a だ。最右辺に ( = a ) と明記した。底 x を何回かけたら xa になるかというと、a 回だから。また、(11)式を底 b として対数をとると

 

   log b x = log b bt = t  ・・・(14)

 

になる。こうして、(12)の t と a を(13)と(14)を使うと

 

   log b x × log x c = log b c

 

つまり

 

   log x c = log b c / log b x

 

のように、底が x の対数は、底が b の対数で書けてしまうという、有用な公式が得られた。こうして、ある一つの底の対数がすべてわかっていれば、どんな底の対数でもすべてその底(今は b )の対数で表せる。そこで、b として、ネイピア数 e = 2.71828・・・にとる。これを自然対数と呼び

 

   log e x = ln x

 

と書く。対数は logarithm、だから、頭の3文字をとって、log。自然対数は natural logarithm、logの l と、自然(natural)の n をとって、ln と書く。