2023-01-01から1年間の記事一覧

152.壺算

唐突ではあるが、計算のルールを適当に決めてみよう。 2つの自然数を考え、次のような演算を定義しよう。まず、2つのそれぞれの数を素因数分解し、両方の素因数の和を取ることにする。すべての素因数を足した数が元の数より大きければ、その数を演算の答え…

151.2で割り、2で掛け、2数の掛け算

第20回で、2桁同士の自然数の掛け算を簡単に行う方法を備忘しておいた。暗算でできるのはいいのだが、でも、九九を知っていないといけない。 そこで、2で割ることと2で掛けることと足し算を知っていれば、2つの自然数の掛け算ができることを見ておこう。…

150.鎮魂 ~安息を(Requiem)~

半信半疑である。 大学院の1年先輩の京都大学基礎物理学研究所教授の訃報を受けた。2023 年 5 月 16日。誕生日前のまだ58歳。 ウェブで検索するも、そんな記事は見つからず、フェークかと思った。 が、報せを受けた数日後、京都新聞に訃報が掲載され、どうも…

149.アインシュタインと光量子論

第 148 回で、アインシュタインがエントロピー s の表式を導いていたことを備忘した。どんな式だったかと言うと s = kB ln w(u) ・・・(1) ( w(u) = ∫dq1…dqndp1…dpn ) だった。また、エントロピーと絶対温度 T には、エネルギー E を通じて 1 / T = dS(E…

148.アインシュタインとエントロピー

第 143 回で、恒星の形成は無秩序に思える星間ガスから秩序だった恒星が生まれる際にエントロピー増大の法則に反しないことを備忘した。エントロピー S は、系の物質が取り得ることが可能な状態の数 W と S = kB ln W ・・・(1) であることを用いた。これ…

147.電磁放射と水素原子

力学の授業でラザフォード散乱の話をする。 金の原子にアルファ線を照射させて、アルファ線の散乱を測定するという話。1911 年の話だ。アルファ線の正体は当時、知られていなかったが、2 価の正電荷を持った粒子であることは判っていた。 実験は 1909 年頃、…

146.太陽黒点

最近、ある教科書を読んでいたら、おもしろいことが書かれていたので、少し専門的になるが、忘れないうちに備忘しておく(目からウロコの物理学1(牧島一夫著)東京大学出版会)。 ただ、完全に数式を追えなかった。が、数係数が正しく出なかったくらいなの…

145.戦いの奴隷

1998 年から 1999 年にかけて 1 年間、フランスはパリに住んでいた。今は名称が変わったが、当時はパリ第 6 大学と呼ばれていた大学が、ノートルダム大聖堂のやや東側のセーヌ左岸にあり、そこに通って研究を行っていた。 第 6 大学から西へサンミッシェル大…

144.ブラックホールと宇宙の終焉?

ひと昔もふた昔も前。宇宙空間に、わらわらと沢山ブラックホールなんぞあるとは思わず、だからブラックホール同士の衝突なんて極めてまれで、考える意味があるのかと思っていた。 ところが。 2つのブラックホールが連星系になっている場合があり、こういっ…

143.星の形成~ビリアル定理、再び

第141回で、「ビリアル定理」を使った2題噺を記した。 その一つ目は、星の重力崩壊。 この重力崩壊の議論を、今度は星間ガスが重力で集まってきて恒星を形成する過程へと読み替えて考えてみよう。 粒子は無限遠方まで行かず、かつ位置エネルギー V(r1, r2,…