72.戦争の記憶

High intelligence city での「市民の大学」の運営委員会。無事に進行し、終了後は年に一度の懇親会。80歳前後の大先輩のお二人の近くに座って話をする。私が50歳過ぎということで、 「なんだ、まだ子供かぁ。」 「まだ、しょんべん垂れやないか。」 と言わ…

71.二十四節気と太陰太陽暦

「今日は立冬、暦の上では冬」なんていうニュースが毎年秋に流れる。今年もそうだった。日本には、立春、立夏、立秋、立冬の「四立(しりゅう)」がある。もちろん、もともとは中国のものだ。夏至、冬至と春分、秋分の「二至二分」は西洋でも意識しているが…

70.曜日の名前

日本では曜日は、日、月、火、水、木、金、土、と、太陽、月、火星、水星、木星、金星、土星の5惑星だと連想する。日、月は除いて、そもそも、5惑星の名前は、中国の五行説から採られているので、五行とも言えるが、基本、惑星である。 どうしてかというと、…

69.宇宙観の進展

High Intelligence City で行われる「市民の大学」。その運営委員として、宇宙関係の講座を企画した。全15回で、その初回は開講挨拶を兼ねて自分が講師として話をすることにした。題して、「はじめに、宇宙観の展開」。我ながら、大きなタイトルをつけてしま…

68.7か国語

カナダにある、物理学の或る学術論文誌から査読の依頼が来た。 査読というのは、研究者が論文を投稿した時に、論文誌の編集者がその投稿論文が学術的に意味があるか、間違っていないかなどを、適切な他の研究者に依頼して審査させるというもので、原則匿名、…

67.適応

人類の進化も面白い。専門家ではないので、色々間違って理解しているところは多々あると思うが、備忘のため記す。 今から300-400万年前、東アフリカにはアウストラロピテクス属に分けられる2種類の猿人がいたそうだ。一つはアウストラロピテクス・アファレ…

66.伝わる

夏は暑い。 第10回で、気体を考えると、絶対温度は気体分子の運動エネルギーの平均に比例して導入されることを見た。 < mv2 / 2 > = (3/2) kB T ここで、mは分子の質量、vはその速度、<・・・> は平均を取るという操作、kB = 1.38×10-23 J/K はボルツマン定…

65.電磁誘導の法則

「理学部」から「理工学部」に看板を掛け変えたために、新装オープンせざるを得なくなった「物理学概論」という授業。従来、1年間、2学期で行っていた内容を半年で行いなさいと言う厳命が下され、なんとか講義ノートを作った。でも、内容をかなり削減。 短時…

64.ぼくの伯父さん

中学時代の友人、T君が俳優の道に進んでいた頃(44回)、彼の影響もあって、戯曲に興味を持つようになった。といっても、テレビのシナリオである。向田邦子、倉本聰、山田太一といった人たちのシナリオが書籍として売られていたので、電車に乗って大きな本屋…

63.物理と笑い

朝永さん(朝永振一郎、1965年ノーベル物理学賞)の随筆「鳥獣戯画」に、複製で良いので実物大、巻物になったのがほしいと思っていたところ、長年の望みかなったという話がある。そのなかで、「鳥獣戯画」の場面の描写がある。長くなるが引用しよう。 『絵巻…

62.学期初めの暖房

新学期が始まった。受け持っているある講義の受講生が 200人を超えた。学部改組で新学部と旧学部の学生が混在し、その上カリキュラムを大幅に変えたので、新学部の学生さんの多くには必修指定された。だからこういう結果になる。外は 4 月のさわやかな絶好の…

61.運動量は p

第48回で、光の速さ、光速がc と書き慣わされていることを述べた。どうやら、単に定数、constantの頭のcのようだった。 前から気になっていたのが、運動量をpと書き慣わすこと。運動量は速さと重さを掛けたもので、正確には (運動量)=(質量)×(速度) 運…

60.球の表面積と体積

中学生の息子が、宿題か何かで球の表面積や球の体積の問題を解いていた。どうやって球の表面積と体積の式を習ったのか聞いてみたが、ちょうど風邪で学校を休んでいたときだったので、知らないと、のたまう。 知らんままでいいんかい。 積分を知っていれば簡…

59.教育を金儲けの言葉で語るな

High Intelligentな我が県の県庁所在地である我が市には、「○○市民の大学」という(○○には市の名前が入る)、市民に向けた生涯教育の先駆けが40年前から続いている。1回90分15回の講座を2講座、年間4つの講座が開設されている。様々な分野の講座が開かれてき…

58.日本の暦のうるう年

現在日本では太陽の運行を基にした太陽暦が使われている。良く知られているように、江戸時代以前では、月の運行を基にして暦を決め、ただし太陽の動きで決まる実際の季節とずれるので閏月を入れて調節する太陰太陽暦が用いられてきた。旧暦と呼びならわされ…

57.2つの素数

すぐに忘れてしまうので、備忘しておこうと思う。 フェルマーの定理は有名で、 xn + yn = zn を満足するような自然数の組、x、y、zは、自然数n が3以上の時に は存在しない と表される。これ以外に、「フェルマーの小定理」なるものがある。 p を素数として…

56.手で掛け算、続報

第 21 回で、1 から 5 までの数同士の掛け算を知っていたら、6 から 9 までの数同士の掛け算は両手の指を使ってできることを記した。最近、同じようにして、10 から 15までの数同士の掛け算を手で使ってできることを知った。ただし、ある数の 10 倍というの…

55.走行中はシートベルトをお締め下さい

高速バスに乗る。前の席に付いている網状の物入れみたいなところに、「走行中はシートベルトをお締め下さい」という札が入っており、「時速60 kmで衝突すると、高さ14 m から飛び降りた衝撃と同じです」といった内容のことが書かれていた。第10回で導いたエ…

54.オーストラリアと寺田寅彦

オーストラリアで国際会議(国際学会)があり、自分の研究の口頭発表ができることになったので、出かけることにした。正直、南半球に行くのは初めてなので、そちらの興味の方が強かった。9月半ばのことだ。時差は30分から1時間程度だが、季節が逆という不思…

53.ホームランが打ちたい

昭和時代を3分割していうならば、昭和後期が始まった頃のこと、スポーツ観戦と言えばテレビのプロ野球くらいしかなかった。地域性によるが、六甲おろしが流れていた。通っていた銭湯の下駄箱は、いつも田淵の背番号 22 だった。 贔屓の球団は、自分が生まれ…

52.集合

小学生の時、算数の授業に「集合」が取り入れられた。取り入れられて間もない頃だったと思う。「AまたはB」とか「AかつB」とかあって、ベン図なんてものを習った。小学生にも小学校の先生にも、なんで小学生に集合論と思ったことだろう。 今から考えるに、思…

51.原子核のアルファ・クラスター

水素からはじまって、ヘリウム、リチウムと、原子核に含まれる陽子の個数が増えていくにつれ、特有の元素として元素記号が与えられている。普通の水素原子核は陽子が1つからできていて、元素記号は H。ヘリウム原子核は陽子 2 つと中性子 2 つからできている…

50.スーパーボールの衝突

スーパーボールなる、子供が喜ぶ小さいボールが売られている。なにがスーパーかというと、良く跳ねること。アスファルトなんかに叩きつけると、勢いよく跳ね返る。昔、子供の時分には値段はそこそこ高かったので一つ二つくらいしか持っていなかったが、今で…

49.長さ・重さ・時間の単位

光速度の測定の歴史に48回で触れたが、現在ではレーザー光を使って極めて精度よく光速度が測定されている。 特殊相対性理論を構築する際に実験事実として置かれる光速度不変の原理、つまり、すべての慣性系の人にとって真空中では光の速さは同じ値を取る、と…

48.光速は、なぜか c

46回、47回と、光の速さの話題が続いた。光速には c という文字を使うことが習わしだが、何故なのだろう。授業では、力は英語で force だから、F と書いて、質量は massだから m と書いて、加速度は acceleration だから a と書いて、ニュートンの第 2 法則…

47.光速の測定

46回の、光の粒子説と波動説の話(粒子性と波動性ではない)のところで、水中での光の速さが空気中の光の速さよりも遅ければ、光の波動説に軍配が上がりそうなことを見た。 そもそも、光の速さはどうやって測ってきたのだろうか。 まずは、17世紀のガリレオ…

46.光の粒子説・波動説

物理を専攻する学生さんたちは、高等学校の物理の教科書の最後の方で、光の波動性と粒子性を学ぶ。光は、電磁波としての波動の性質を持つが、光電効果やコンプトン効果に見られるように粒子性も示すと習う。光の干渉や回折から光の波動性は早くに教わってい…

45.コリオリ力・フーコーの振り子・台風

ポルトガルのコインブラ大学に滞在し、共同研究を行う。日本にいると相当量の研究・教育以外の大学運営・人事管理などの仕事に追われ、落ち着いて物を考える時間が無い。海外の研究室に滞在させてもらって、適度に議論しながら研究を進めるのが最近の研究方…

44.夏の終り

子供の時分から、何かあるたびに結核を疑われた。 小学生時代。ツベルクリン反応では要検査に廻されるもいつも何もなし。面倒なので、注射された日は家で注射された場所を手でこすって、だいたい良さそうな大きさの赤い丸を注射痕に作っていた。 中学になる…

43.音階

子供が中学校に入学した。自分の中学時代なんて、ついこの間のような気がする。小学生の時の記憶は曖昧になっているが、中学生になると俄然よく覚えている。だから、ごく最近の出来事であったような気がするが、子供が中学生になったということは、遥か彼方…