103.数字の並びから法則へ

原子から放出される光は、特定の波長を持っている。たとえばナトリウムならおおよそ 589 nm(ナノメートル)で、橙黄色、高速道路のトンネルなんかに使われている、いわゆるナトリウムランプだ。ネオンだと、いくつかの波長が混ざっているが、だいたい赤橙色…

102.戦後74年

お風呂メインで行っているスポーツ施設で、お風呂上りに、4 台あるマッサージ機のうちの 1 台でぐりぐりしていたところ、別の 2 台にご老人がお二人並んで、ぐりぐりされておられた。年齢は違っているようだが、お一人がもう一人に話しかけていた。聴くつも…

101.レポート分析

学生さんにレポートを課すことが良くある。そして、曲者のレポートチェック。 最近の学生さんは真面目なのでそう云うことは無いのだが(と期待しているのだが)、長く教員をしていると、コピー・アンド・ペーストが散見されることがあった。物理学のレポート…

100.恒星になれなかった木星

概論の授業の最終回は、ミクロの物理学、量子科学に触れて、基礎方程式であるシュレーディンガー方程式を見せて、トンネル効果なんか説明して、無からの宇宙生成の可能性まで話して締めていたのだが、昨年やったら、難しすぎてわからないと、評判が大層悪か…

99.黄金比

息子も高校生となり、数学の先生から授業以外の数学の話を聴く機会が増えた様だ。先生が黄金比の話をしたようで、詳しくなっていた。教科書以外の知識が学問への導入になることは多い。 そういえば、自分自身も、正五角形の黄金分割の話を何かで読み、興味を…

98.ブランコ

ブランコ、児童公園なんかに備えられているあれだ。 ブランコの存在は、古くは紀元前2000年より以前に遡るらしい。メソポタミア文明、今のシリアあたりのシュメールだ。もとはどうやら、宗教儀礼、特に豊穣祈願で使われていたらしい。葡萄が生産される地方で…

97.ライプニッツの積分法

ニュートンとは独立に、微積分法はライプニッツによっても発見されている。ニュートンによる積分法を説明したのに、ライプニッツに触れないのは片手落ちの様な気がするので、ライプニッツによる求積(積分)法を記しておこう。 ライプニッツは、ある曲線の下…

96.ニュートンの流率法

物理の授業をしていると、どうして微分や積分が物理に出てくるんだ、という文句が学生さんからよく出てくる。 でもね、力学の問題を解くために微分積分が生み出されたんだから仕方がない。 ライプニッツも同時期に微分積分学を考案していたものの、ニュート…

95.パスカルの三角形からニュートンへ

nを自然数として、( x + y )n の展開は比較的容易にできるが、逆の因数分解はなかなか難しい。 高校生になった息子が、 x4 + 4 y4 を因数分解せよ という問題に出くわし、どうしたらよいかわからないようだった。 物理の研究を30年近くしている身にも、こん…

94.゛機械学的”方法による求積

新学期が始まり、いつも2~3週間したら、黄金週間という名の連休が入る。今年、2019年は改元があり、10連休になった。 ずっと以前、大学に着任してまだ 5 年ほど、助手の頃に、共通教育という名の一般教育の授業で、「数学と物理学の進歩」だったか、「物理…

93.授時

第69回で、宇宙観の進展について備忘した。どうしても西洋中心の宇宙観になってしまうが、中国ももちろん古くから進んでいた。 初期中国では、宇宙の空間的構造としては 3 つの説が唱えられていた。1 つ目は天地は平面的とした蓋天(がいてん)説。天と地は…

92.漱石から採る物理の問題

子供が、入試勉強で、国語や英語の長文問題では問題を解く時間が無くなるとぼやいていた。そういう時は、問われている問題を先に読んでから、問題文である長文に目を通したら、どこに答えが潜んでいるかわかりやすい、と助言しておく。長文読んでから問題を…

91.CP対称性の破れ

前回、鏡のこちらと向こう側では自然法則は同じでなくなり、こちらの世界で起きる事象が、あちらの世界では禁止されることがあることを、コバルト 60 の放射性崩壊を例にして、見た。最後に指摘しておいたように、さらに、粒子・反粒子を入れ替えると、鏡の…

90.鏡の向こうとこちらの物理

前回、89 回では、鏡の向こう側が何故、右と左が反対に見えるのか、あるいはそう感じるのかについて考察した。人とかだと、あからさまに左右が違う。例えば顔のほくろの位置とか、心臓の位置とか。でも、基本の基本の自然法則までたどれば、自然は鏡のこちら…

89.鏡の向こう側

とあるテレビの番組を見ていたら、「鏡に映すと右と左が反対になるのは何故か?」という質問があり、その回答が「よくわかっていない」となっていた。 えっ、まだわかってないの??となってしまった。 まぁ、設問に対する回答としてはそうなのかもしれない…

88.平方数の和

第30回で四元数に触れた。少し復習しておこう。 まずは、普通の数。a と b という二つの数があったとしよう。数字 a の“大きさ”を絶対値と言って、|a| と書くと、 |a| |b| = | ab| になるのは、ほぼ当たり前だ。 次に複素数。2 乗したら-1に なる“虚数単位”…

87.潮の満ち引き

第86回では、月が地球から離れているという観測事実から理解できることを見た。 では、なぜ月は地球から離れて行っているのであろうか。 第86回と同様な状況設定しておこう。 月と地球は万有引力を及ぼしあいながら、共通の重心の周りを回転運動している。月…

86.地球と月

第85回では単位の定義の改訂について触れた。その中で、時間の単位、秒の定義を書いておいた。 歴史的には、秒の定義はセシウム 133 原子を用いた定義になるまでは、1900 年の平均太陽日の 24 分の 1 の 60 分の 1 の 60 分の 1 を 1 秒として定められていた…

85.単位系の改訂

第49回で長さの単位の決め方の変遷に触れた。その際、質量の単位の基準がキログラム原器から変更されることに触れた。 2018 年 11 月 16 日に国際度量衡総会で新しい単位の基準が承認され、2019 年 5 月20 日から施行の運びとなった。 時間と長さの単位の基…

84.太陽が眩しいから

さだまさし(敬称略)というシンガーソングライターがいる。俳優の菅田将暉さんがさださんの学生時代を演じたドラマを以前に見たことがある。だいぶん雰囲気良い方に寄せてるから演じられたご本人は気分いいだろうなぁ。 それで、久しぶりにさださんの昔の曲…

83.対数表

授業のレポートで、数値を求めさせる問題を出した。すると、「ルートの計算ができない」と書かれていて、有効数字とか関係のない答案があった。たとえば、特殊相対性理論でローレンツ因子 √(1- v2 / c2 )なんてのがあって、c は光の速さ、v は物体の速さだ…

82.天の川銀河の星の数

地球は太陽の周りを回っている。地球はほぼ円軌道で太陽の周りを回るので、地球と太陽までの距離 RE、およそ 1 億 5 千万キロメートルを半径とした円周を、1 年、365 日かけて 1 周する。ということは、1秒あたりの速さ vE として、(速さ)×(時間)=(動い…

81.頭から腐った魚、腐った魚の頭

2018 年 7月、台風7号が通り過ぎたというのに、雨は降り続く。特に、7 月 5 日からひどくなり、気象庁が特別に緊急会見を開き注意喚起するも、20 時頃には西日本を中心に 20 万人に避難勧告が出される。翌 6 日夕刻には九州3県に、続いて中国地方 3 県に大雨…

80.シュテファン・ボルツマンの法則に従って、暑い

第62回の備忘では、人が座っているだけで熱を発生しており、「代謝率」なるものを引っ張て来て、おおよそ一人当たり100 W、1秒間に100 Jのエネルギーを熱として放出していることを見た。 今回は、代謝率という生理学的な知識を使わず、物理学だけで再度検討…

79.魚は頭から腐る

大学でもインターンシップなるものが導入され、年月が経ってきた。結局のところ職場体験のことではあるが、もともとは産学連携のためにアメリカ合衆国で行われてきた制度だ。 何でもかんでもアメリカに倣え、最近の風潮。 日本では、バブル景気でイケイケど…

78.球の表面積、再び

第60回で、球の体積が何故 4πr3 / 3 になるかという話をした。そこから球の表面積 4πr2 を求めたが、球の体積を経由せずに直接、球の表面積を求めるにはどうすればよいかという質問を受けた。 そこで、球をとても小さな高さ Δx ずつに輪切りにしていくことを…

77.見~っけた

大阪の下町育ちなので、子供の頃の遊びは、「だるまさんがころんだ」というような上品な10文字を数えて遊ぶのではなく、遊びの内容は全く同じではあるが、「坊さん(ぼんさん)が屁(へ)をこいた」であった。続けて10文字10音節、「匂うたら(におうたら)…

76.アイドルになりたい

新学期が始まった。大学も新入生であふれかえる春爛漫だ。 今もそう変わりはないが、私が大学に入りたての頃は、一人暮らしを始めたばかりの経験の浅い、経験値の低い新入生を狙って、とにもかくにも様々な勧誘がやってきたものだ。新興宗教、ねずみ講、おと…

75.さくら

2018年の桜、正確にはソメイヨシノではあるが、開花一番乗りは我らが High Intelligence 県であった。気象庁の係の人が、お城にある標準木を午前にチェックに行ったがまだ基準に達していなくて、午後にまた行ったがまだ駄目で、もう一度、午後 4 時半ころに…

74.ひらめきと直感

薬学・脳科学研究者の池谷裕二さんの著書を読んでいたら、「ひらめき」と「直感」が区別されていた。『「ひらめき」は思いついた後に、その答えの理由を言語化でき』るということで、一方、『「直感」は、本人にも理由がわからない確信を指』すとある。なる…